不器用主人の心は娘のもの
いっそ、もう彼女に本当のことを打ち明けようか?今まで何度かそう決心していたのだから。
しかし今さら真実を打ち明けられた彼女はどうなるだろう?
娘を冷たく扱った『主人』と、娘への想いを打ち明け愛情を示した『テイル』。
もう遅過ぎたのかもしれない。しかし彼の心はもう罪悪感に耐えられなかった。
(…せめてその前に、自らの気持ちを伝え、娘の名を心に刻み込みたい…。明かせばもうきっと、彼女は二度と私のもとには戻らないのだから…)
昼過ぎ、彼はバラドに『執事長』の姿で『娘に会いたい』と願い出、頭を下げた。
バラドはいつもの無表情から眉間にしわを寄せる。
しかし、
「…もう、最後にする。バラド…今まで娘のこと、すまなかった…。私は自分のしてきたことの罪悪感に耐えられない…だから…」
「御主人…」
彼の言葉に、バラドは眉間にしわを寄せたまま彼を呼ぶ。
「このあと娘を部屋に…。そして夜も、娘を仕度させて部屋に頼む…」
彼の言葉にバラドは下を向き、目を閉じる。
そしてすぐに彼を見て、頭を下げ去っていった。
(彼女からもっと早く名を聞き、そして優しくしてやるのだった…)
真実を明かせば彼女を手放さなければならなくなるであろうことは分かっている。
きっと許してはくれないだろう。
あれだけ嫌われた主人が彼女に好きだと打ち明けたテイルだったなど、裏切られたという他にないのだから…
しかし今さら真実を打ち明けられた彼女はどうなるだろう?
娘を冷たく扱った『主人』と、娘への想いを打ち明け愛情を示した『テイル』。
もう遅過ぎたのかもしれない。しかし彼の心はもう罪悪感に耐えられなかった。
(…せめてその前に、自らの気持ちを伝え、娘の名を心に刻み込みたい…。明かせばもうきっと、彼女は二度と私のもとには戻らないのだから…)
昼過ぎ、彼はバラドに『執事長』の姿で『娘に会いたい』と願い出、頭を下げた。
バラドはいつもの無表情から眉間にしわを寄せる。
しかし、
「…もう、最後にする。バラド…今まで娘のこと、すまなかった…。私は自分のしてきたことの罪悪感に耐えられない…だから…」
「御主人…」
彼の言葉に、バラドは眉間にしわを寄せたまま彼を呼ぶ。
「このあと娘を部屋に…。そして夜も、娘を仕度させて部屋に頼む…」
彼の言葉にバラドは下を向き、目を閉じる。
そしてすぐに彼を見て、頭を下げ去っていった。
(彼女からもっと早く名を聞き、そして優しくしてやるのだった…)
真実を明かせば彼女を手放さなければならなくなるであろうことは分かっている。
きっと許してはくれないだろう。
あれだけ嫌われた主人が彼女に好きだと打ち明けたテイルだったなど、裏切られたという他にないのだから…