不器用主人の心は娘のもの
君に向かい合うとき
彼は何とか自分の仕事を全て終えると、息つく間もなく身支度を整えてエイミの部屋へ向かう。
もう逃げることはせず、現実と向かい合わなければ。
そうしなければ自分も、そしてエイミもまた苦しむばかりなのは分かりきっているのだから。
「っ…御主人様…!!」
部屋に入るとエイミは主人の姿を見て身体を起こそうとしたらしいが、身体がまだうまく動かないらしく身じろぎしただけだった。
彼は近付き、エイミの頬をそっと撫でる。
主人の姿を見ても怯える様子のない彼女を見て安堵した。
「…なぜ…戻ってきた…?」
そう切り出すが、不安と調子の戻らない身体のおかげで声が震える。
エイミは不安げに彼を見つめて言った。
「ご、御主人様に、尋ねたいことがたくさんあって…」
「また私が、お前を無理やり奪おうとしてもか…?」
エイミにそう尋ねる。
自分がそれほどにエイミを想っているのだと分かってほしかった。
エイミは彼を見据えてはっきりと答える。
「っ、御主人様が私を好きだと言ってくださるのなら、私は喜んでお役目をお受けします…!」
…なぜだろう…?自分はあれだけ嫌われてしまったはずなのに。
しかし嘘を言うためにエイミがわざわざ戻ってくるはずはない。
「『テイル様』が本心を言うことができないのなら、『御主人様』から私は聞きたいのです、教えてくださいませんか…!?」
そう、エイミはさらに言葉を重ねた。
エイミの言うとおり、『主人』のものであるエイミに、本当なら『執事長』が想いを伝えられるはずはない。
「…もっと早く告げるのだった…」
小さな声で思わず呟く。
エイミは、彼が自身の気持ちを伝えてくれることを待っていたのかもしれない。
主人である今、エイミに今度こそ伝えなければ。
エイミに嫌われたくないばかりに主人の正体も気持ちも隠し続け、その姿で怯えさせ続けた償いを、今度こそするためにも…
もう逃げることはせず、現実と向かい合わなければ。
そうしなければ自分も、そしてエイミもまた苦しむばかりなのは分かりきっているのだから。
「っ…御主人様…!!」
部屋に入るとエイミは主人の姿を見て身体を起こそうとしたらしいが、身体がまだうまく動かないらしく身じろぎしただけだった。
彼は近付き、エイミの頬をそっと撫でる。
主人の姿を見ても怯える様子のない彼女を見て安堵した。
「…なぜ…戻ってきた…?」
そう切り出すが、不安と調子の戻らない身体のおかげで声が震える。
エイミは不安げに彼を見つめて言った。
「ご、御主人様に、尋ねたいことがたくさんあって…」
「また私が、お前を無理やり奪おうとしてもか…?」
エイミにそう尋ねる。
自分がそれほどにエイミを想っているのだと分かってほしかった。
エイミは彼を見据えてはっきりと答える。
「っ、御主人様が私を好きだと言ってくださるのなら、私は喜んでお役目をお受けします…!」
…なぜだろう…?自分はあれだけ嫌われてしまったはずなのに。
しかし嘘を言うためにエイミがわざわざ戻ってくるはずはない。
「『テイル様』が本心を言うことができないのなら、『御主人様』から私は聞きたいのです、教えてくださいませんか…!?」
そう、エイミはさらに言葉を重ねた。
エイミの言うとおり、『主人』のものであるエイミに、本当なら『執事長』が想いを伝えられるはずはない。
「…もっと早く告げるのだった…」
小さな声で思わず呟く。
エイミは、彼が自身の気持ちを伝えてくれることを待っていたのかもしれない。
主人である今、エイミに今度こそ伝えなければ。
エイミに嫌われたくないばかりに主人の正体も気持ちも隠し続け、その姿で怯えさせ続けた償いを、今度こそするためにも…