不器用主人の心は娘のもの
※ おまけ 彼のちょっとした秘密2ページめ
「え??」
「…。」
エイミは首を傾げ、彼は下を向きそのまままた黙りこくった。
そんな主人をよそに、ばあやはさらに続ける。
「大主人様と大奥様はお忙しく、御主人様はいつもお寂しそうだったの。ですから泣いている幼い御主人様を膝に乗せて差し上げたのは、バラド様だったのよ。一度だけ、だけれどね。私は偶然、部屋の掃除をするために入って、それを見てしまったの。いい思い出ですわねえ、御主人様」
「っ、ばあや…!」
『主人』の話し方も態度も取れないまま、彼は恥ずかしくなり慌て、思わず仮面に隠れていない顔を片手で覆う。
エイミは気付いたらしく、今度はエイミが下を向き顔を赤くして黙った。
…自分が執事姿で毎朝していたのが、幼い頃に一度だけバラドにしてもらったあやし方だったとエイミに知られてしまった…
ばあやは自分がエイミにそうしていることを知らない。穏やかに笑いながらぬいぐるみを見てやっている。
いつも無表情で無口なバラドが膝に自分を乗せてあやすさまは、今思い出しても普通ではありえない光景だった。
それを部屋に入ってきた若い頃のばあやに見られてしまったのだ。
そう、いつかのコリーンのように…
「御主人」
バラドが部屋に入ってくる。
エイミと彼は思わず固まり、バラドを凝視。
バラドはいつもの無表情で目を見開き、何事かとじっと二人の様子を見た。
そんな様子を、開いた扉の外からコリーンが見て楽しげに笑っていた。
《おわり》
「…。」
エイミは首を傾げ、彼は下を向きそのまままた黙りこくった。
そんな主人をよそに、ばあやはさらに続ける。
「大主人様と大奥様はお忙しく、御主人様はいつもお寂しそうだったの。ですから泣いている幼い御主人様を膝に乗せて差し上げたのは、バラド様だったのよ。一度だけ、だけれどね。私は偶然、部屋の掃除をするために入って、それを見てしまったの。いい思い出ですわねえ、御主人様」
「っ、ばあや…!」
『主人』の話し方も態度も取れないまま、彼は恥ずかしくなり慌て、思わず仮面に隠れていない顔を片手で覆う。
エイミは気付いたらしく、今度はエイミが下を向き顔を赤くして黙った。
…自分が執事姿で毎朝していたのが、幼い頃に一度だけバラドにしてもらったあやし方だったとエイミに知られてしまった…
ばあやは自分がエイミにそうしていることを知らない。穏やかに笑いながらぬいぐるみを見てやっている。
いつも無表情で無口なバラドが膝に自分を乗せてあやすさまは、今思い出しても普通ではありえない光景だった。
それを部屋に入ってきた若い頃のばあやに見られてしまったのだ。
そう、いつかのコリーンのように…
「御主人」
バラドが部屋に入ってくる。
エイミと彼は思わず固まり、バラドを凝視。
バラドはいつもの無表情で目を見開き、何事かとじっと二人の様子を見た。
そんな様子を、開いた扉の外からコリーンが見て楽しげに笑っていた。
《おわり》