不器用主人の心は娘のもの
迎えた夜
彼は娘のいる、ベッドだけを置かせた小さな部屋にやってきた。
日が沈みかけ、薄暗くなっていく部屋。
ドアに背を向け床に座り込む彼女は、鍵のかけられた戸が突然開く音に驚いたらしい。
激しく身体を震わせた。
「何をしている」
彼が座り込む娘に主人らしく冷たく声を掛けると、彼女は身体を震わせそのままうずくまる。
娘の身体は命通り、タオルを巻かれ手を前で縛られていた。
馬車でも下を向いたままで、今も灯りはあるが薄暗い部屋の中。
泣き姿は見ていたが、彼はまともには娘の顔や姿を見られていない。
彼の中の血が一瞬たぎった。
見てみたい。彼女はこの後どのような反応をするのだろう?
彼は無言のまま娘の腰に片腕を回して立ち上がらせベッドに放ってやると、倒れ込んだ彼女に詰め寄った。
「…痛っ…!」
娘が小さく声を上げる。
「主人を待つ際に床にしゃがみ込んでいるなど、子犬にしてみれば上出来だ。しかしお前の役割はそうでは無い」
彼は冷たい声でそう言い放つと、娘の身体をベッドに強く縫い付けた。
(…早く、見たい…早く…!!)
彼の顔は生まれて初めて、自分の気付かぬうちに仮面の奥で欲に歪んだ。
「人形を買ったつもりはない。…どんな声を出すのか、楽しみなものだ」
彼は欲に駆られたまま彼女を組み敷き、あっという間に身体を奪った。
仮面のためか、自身の熱い吐息にのぼせそうになる。泣き叫ぶばかりの彼女に、ますます自身の欲は増していった。
声が聞きたい…娘を強く抱きしめた時の声が…!
まるで自身の着けた仮面が呪われているものにでもなったかのように…
気付いた時には彼女は気を失い、そして何よりも…
(…初めてだったのか…)
よく考えてみればあのように不慣れな娘が、初めてでないはずはなかった。
今までの相手はたとえそうであっても、自ら望んで『主人』のもとに来た者たちばかり。
しかしこの娘はそれとは訳が違う。
自分は知らなかったとはいえ我を忘れ、彼女を無理やり奪ってしまったのだった。
日が沈みかけ、薄暗くなっていく部屋。
ドアに背を向け床に座り込む彼女は、鍵のかけられた戸が突然開く音に驚いたらしい。
激しく身体を震わせた。
「何をしている」
彼が座り込む娘に主人らしく冷たく声を掛けると、彼女は身体を震わせそのままうずくまる。
娘の身体は命通り、タオルを巻かれ手を前で縛られていた。
馬車でも下を向いたままで、今も灯りはあるが薄暗い部屋の中。
泣き姿は見ていたが、彼はまともには娘の顔や姿を見られていない。
彼の中の血が一瞬たぎった。
見てみたい。彼女はこの後どのような反応をするのだろう?
彼は無言のまま娘の腰に片腕を回して立ち上がらせベッドに放ってやると、倒れ込んだ彼女に詰め寄った。
「…痛っ…!」
娘が小さく声を上げる。
「主人を待つ際に床にしゃがみ込んでいるなど、子犬にしてみれば上出来だ。しかしお前の役割はそうでは無い」
彼は冷たい声でそう言い放つと、娘の身体をベッドに強く縫い付けた。
(…早く、見たい…早く…!!)
彼の顔は生まれて初めて、自分の気付かぬうちに仮面の奥で欲に歪んだ。
「人形を買ったつもりはない。…どんな声を出すのか、楽しみなものだ」
彼は欲に駆られたまま彼女を組み敷き、あっという間に身体を奪った。
仮面のためか、自身の熱い吐息にのぼせそうになる。泣き叫ぶばかりの彼女に、ますます自身の欲は増していった。
声が聞きたい…娘を強く抱きしめた時の声が…!
まるで自身の着けた仮面が呪われているものにでもなったかのように…
気付いた時には彼女は気を失い、そして何よりも…
(…初めてだったのか…)
よく考えてみればあのように不慣れな娘が、初めてでないはずはなかった。
今までの相手はたとえそうであっても、自ら望んで『主人』のもとに来た者たちばかり。
しかしこの娘はそれとは訳が違う。
自分は知らなかったとはいえ我を忘れ、彼女を無理やり奪ってしまったのだった。