婚約解消しないと出られない部屋
1 プロローグ


「ちょちょちょちょちょっと待ったああ!!! 鎖を解け! 扉を閉めるな!」

「何考えてるの二人とも!! 私達は結婚もしてないのよ!?」



 叫ぶジルフリート様、慄く私。



「だからちゃんと縛り上げてるでしょ?」
「兄様、諦めて素直になるんだよ!」
「お父様達もみーんな知ってるから大丈夫よ! 姉様ふぁいとぉ」



 ――ぱたん。



 無情にも扉は閉められてしまった。


 残されたのは、手錠をされ柱に椅子ごと縛り付けられた私の婚約者のジルフリート様と、手錠の鍵は持ったものの、別の柱から長い鎖で繋がれた私の、二人だけだった……。


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