婚約解消しないと出られない部屋


「ちょっと待て、俺達は婚前だぞ!」

『婚約者同士、昨今それくらいなら誰でもやってますよ』
『兄さん後一息頑張るんだよ! そこまですれば、今後も素直になれるってもの――』

 その先を聞くことはできなかった。
 なぜなら、ジルフリート様が映像投影装置を魔法で破壊したからだ。

「――扉も破壊しよう」
「ジルフリート様いけません! ここは地下です、下手に破壊したら天井から崩れ落ちますわ!?」
「…………なんなんだ、あいつら。ここまで計算してるのか? 腹立つ……腹立つ…………」

 扉を見ながら何度も舌打ちするジルフリート様、ウニ頭のままですけれどもやはり美形だけあって格好良いですわ!

 そんな彼を見て、これからするだろうことを考えて、私は赤い顔をして俯いてしまう。
 彼は……私とでは、嫌だろうか…………。

「…………あの」

 私が声をかけると、ジルフリート様がぎくりとしてこちらをゆっくりと見る。
 そっと顔を上げると、赤い顔をしてこちらを見ている彼がいた。
 しかしながら、彼はそっと目線を床に落とす。

「オレリアは、俺に触れられるのは嫌だろう?」
「えっ、どうして……」
「さっき、俺を変態だと罵っていた」

 そこまでしていませんわ!?


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