婚約解消しないと出られない部屋
4 エピローグ(終)
その日は、この部屋を作った二人に散々揶揄われたし、散々文句を言われた。
要するに、今まであれだけ素直にならなかったのは一体何だったのかということらしい。
そう言いたくなるのも仕方がないくらい、私達はいちゃついていたので、まあ耐え忍ぶしかないのだろう。
それにそもそも、ジルフリート様の笑顔を見ていたら、二人に何を言われても全然気にならないのだ。
視界にはお花が散りばめられていて、世界は明るい。
恋が実るって、なんて素敵なのかしら。
ちなみに、今回の顛末については、実行犯のアリアーヌとセドリック様から、両家の両親にも報告するらしい。
親に痴態を見られる羞恥で、私とジルフリート様は必死に反対したけれども、そもそも映像装置やら何やらを用意したのは両家の両親なので、隠しようがないのだとか。
アリアーヌとセドリック様の配慮で、ぎりぎり家族的に笑えるシーンだけを切りとった映像を作ってから、私達二人を除いたメンツで、ポップコーンを食べながら鑑賞する予定と聞いた。
要するに、編集が終わるまで、猶予があるのだ。
目下、私とジルフリート様の課題は、いかにその映像を抹消するかということ。
恋愛はからっきしだけれども、こういう時の対応だけはピカイチの長男長女の実力を発揮する時である。
「オレリア、初めての共同作業だな」
「はい、ジルフリート様……」
今の私達は最強なので、きっとその映像記録の抹消に成功するであろう。
勝利を確信しながら、私とジルフリート様は、固く手を取り合って微笑んだのだった。
なお、ジルフリート様はここまでずっとウニ頭のままだった。
終わり。