婚約解消しないと出られない部屋
3−6 好きになってごめんなさい
そんなぐちゃぐちゃな私達を見たアリアーヌとセドリックは、満足そうな顔をして宣った。
『じゃあ、あとは若いお二人でよろしくね。姉さんファイトぉ!』
『ちゃんと素直な気持ちを伝えるんだよ! 兄さん、健闘を祈る!』
――プチっ。
映像が切れると、そこには水を打ったような静けさがあった。
私は蹲ったまま、もう動けなかった。
絶命したい。全てを終わらせたい。誰かこのまま私を殺してほしい。
「――オレリア」
ジルフリート様の声が聞こえる。
でも、私は蹲ったまま、動かなかった。
「オレリアは、俺のことを好きなのか」
ジルフリート様の声が震えていたような気がするけれども、きっと気のせいだろう。
そんなことより、とうとうバレた。バレてしまった。私がこんな重たい想いを抱えた女だと言うことがバレてしまった。
そして、私は気がついているのだ。
これは仕組まれた罠だ。
……そうだ、ちゃんと気がついていることをジルフリート様に伝えなければ。
顔を上げることもなく蹲ったまま、私は涙で枯れた声で、ジルフリート様に話しかけた。
「ジルフリート様。私、ちゃんと分かってるんです」
「……な、何が」
「ジルフリート様は、私のことなんか、別に好きじゃない……」
「――どうしてそうなった!?」
その激しい声に不思議に思いながら、私はもうなんでもいいやと蹲ったまま、呟くように続ける。
「さっきの映像、私ちゃんと気がついているんです」
「いや、あれは俺じゃないがな。全部合成だ。うん。しかしまあ、続きを聞こうじゃないか」
「あの映像の中で、ジルフリート様は本当は、他の女性のことを話していらっしゃったということに」
「――なぜ!?」