涼やかな風
「どうぞ」
低い声。
「紗和・・・」
拓徒は驚いた顔をしている。
「うん?来ちゃった」
私は笑顔で言う。
「黙ってて、ゴメン。
なんとなく、俺、自分が肺炎だってこと、気づいてた。
でも、紗和にいえなかった。
紗和、絶対悲しむと思ったから」
拓徒は淡々と語り始める。
「俺、もう長く生きれないと思う。
なんとなく・・・・予想だけど。
でも、俺はそれを受け入れる。
こんな俺だけど、一緒に居てくれる?」
「うん・・・
私も、ここにこようか迷った。
でも、拓徒と一緒にいたいと思ったよ。」