涼やかな風




「白永拓徒くん
まず最初に、あやまらなくちゃいけないと思います。
私たち夫妻は、あなたをずっと認めたくありませんでした。
最愛の息子、大地をなくしてから、私たちはずっとあなたを認めないことで、
悲しみを紛らわしていました。
だけど、あなたにやつあたりしても、大地が戻ってこないということが分かりました。
いままで、あなたの存在を否定しつづけて本当にごめんなさい。
許してもらえないかもしれないけれど、そのときは、あなたが許してくれるまで、あやまります。
紗和は、あなたのことが大好きです。
あなたも、きっと紗和のことが大好きなんでしょう。
泣かしたりしないでくださいね。
紗和を大切にしてください。」










拓徒は、泣いていた。










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