せ ん にゅ う
恋の依頼を引き受けちゃう
「ユリちゃーんっ」

と、大きく手を振って、

廊下の向こうから、マリが走ってくる。

あたしと彼女は『マリユリ』なんてコンビっぽく呼ばれるけど。

冗談じゃないっ。

極端な日焼けだけは避けてるけど、白くもない肌に筋肉のついた体。

まあ、スリムっていったらそうだけどさ。

『かわいい』より『カッコいい』なんて言われるって、どうよ。

そんなあたしと違って、マリは、ああ、女の子だ。

どっしょもないくらい、女の子だ。

パタパタ走ってくる彼女の肩では、ゆる~く巻かれた茶髪が跳ねてる。

あたしのストンと落ちるボディと違って、胸がたわんたわんしてる。

黒いストレートショーで、スリムだけが取り柄の私には、そんなキラキラふんわりヘアも、魅惑のボディも夢よ夢……。
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