せ ん にゅ う
あたしはマリから封筒を受け取る。

後ろには、奈木くんへっていう宛名と、シンプルなハートマークが添えられていた。

乙女やわぁ、このラブレターの送り主、めちゃ乙女やわぁ。

あたしは放課後ヒマだし、頼まれちゃうと断れないからね。

マリに親指を突っ立てる。

「オケィ、そんじゃあ少し時間ちょうだい。必ず届けるから」

「うん、お願いー。がんばってねー」

そうしてあたしは放課後、陸上部にスカウトされたこともある足の速さで、帰宅した。

綾南に直行?

まさかっ!

その前にやることがあんの。

「あらユリ、おかえりなさい」

「ただいま、ママ」

自宅に帰りついたあたしは、ママとのあいさつもほどほどに、鞄をソファーへ投げ出した。

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