せ ん にゅ う
ラブレターだけ鞄から抜き取って、自分の部屋へ駆け込む。

勉強机の前に座ったあたしは、一番上の引き出しを、引くんじゃなくて押した。

すると、ニスの塗ってある木製机が、ウィィィィンって起動。

あっという間に、いくつかのアームがスクリーンを映し出す。

まるで悪の組織が持ってそうな、監視システムもどきができあがった。

机の表面が左右に開いて、その下からキーボードとパネル、細く伸びたマイクがせり出してくる。

あたしはラブレターを、スキャナーの上に置いた。

いくつかのスクリーンのひとつに、透視された手紙の内容が映し出される。

別に、手紙の内容を盗み読もうってわけじゃないってば。

続いて、右のスクリーンに、今までのとあるデータをアップする。

すると、中央のスクリーンで文字がものすごい勢いで下から上に流れていく。

五秒くらいで、コンピューターが答えを弾き出した。

筆跡や、封筒の指紋などから、手紙の送り主は一年生の相沢って子だと判明した。

いや、ほら、あたしだって依頼主ぐらい知っとく権利はあるじゃん?
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