初恋を手放す
私が知っている「秋さん」は恋人でもない異性を不用意に呼び出す人ではない。

「大学で新歓の総括をされたそうですね。お疲れさまでした。」
「ありがとう。それはそんなに大変じゃなかったけど…まあここ半年くらいの間に色々あったのは事実かなあ」
「そうだったんですね」

彼が何の話をするためにここに私を呼び出したのか、なんとなく予想はしていたが、ここにきてその予感が的中したのだと確信する。

「……村田と別れて、大学で出会った子と付き合った」

改まった調子で告げられた言葉は予想を少し上回ったもので驚く。

「新しいお付き合いですか」
「うん」

思い返せば、いくつか合点のいく出来事があった。
SNSのアイコンが突然変わったこと。
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