ゲーム友達
早坂くんは、背も高くて、ゲームばっかりやってるのに、ちゃっかり運動神経も良くて。

結構人気があった。

ちょこちょこ彼女が居たのも知っていた。


でも、ほぼ毎日ゲームを一緒にやって、学校でも割と話すし、もしかして…なんて少し自惚れてたのかもしれない。



卒業式の日、一世一代の告白をしようと手紙を書いた私。


渡したいものがあると言って空き教室に呼び出したけれど
少し遅れてやってきた早坂くんは何だか少しよそよそしかった。


そして私は早坂くんの学生服の第2ボタンが無い事にすぐに気が付いて、泣きそうになった記憶がある。



早坂くんが、私を見て少し困ったような顔をした事も、鮮明に覚えている。


私は渡すはずだった手紙を鞄にしまい、“1年間ありがとう、高校に行っても、ゲーム友達でいてね”と当たり障りない言葉だけ伝えて、鞄に付けていたキーホルダーを早坂くんに渡し、逃げるように教室を出た。




おそらく人生で一番勇気を出した日だった。

第2ボタンを渡した相手が他に居たのかもしれない。
それでもあの時ちゃんと好きだと伝えておけば良かったとずっと後悔している。


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