ゲーム友達
同じ高校に入ったけれど、クラスも別々で、いつも輪の中心にいる早坂くん。


学校で、中学の時のように話す事はほとんど無かった。

私が避けていた、という方が近いけれど。



「今…下の名前で呼ばないでよ」

私は小さな声でそう言った。

「何で?」

早坂くんが、視線をこっちに向けたのが分かる。

私は地面を見つめたままだ。

「誤解が、生じるかもしれないじゃん」

「誰に、何の?」

「早坂くんのファンに恋敵だと思われる」

「ハハ。どこに気つかってんの?てか、俺のファンとか聞いたことないわ」



早坂くんが笑ったので、私はチラッとその横顔を盗み見る。

中学の時より背、伸びたな。

ほぼ毎日ゲーム内では話すけれど、久しぶりに直接話すからか緊張した。

そういえば笑った顔が、好きだった。








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