春になっても溶けないで
その時。ガチャリとドアが開いて、誰かが入ってきた。

もしかして、中本さん?恐る恐る振り向くと…

ーー誰?

そこにいたのは中本さんと似ても似つかない、色黒な男の子だった。

「なぁ、悠〜!一人でサボんなよ〜!」


そう言って悠に近づいてくる。


「いいじゃん〜。サボりたいんだもん!」


悠も、おどけた口調でそう返した。

なんだか、とても楽しそう。いいなぁ。私も、ああいう友達が欲しかった。

すると、その色黒な男の子がこちらを見てきた。

「え?まさか彼女?可愛いじゃん。」

『可愛いじゃん』そんな風に言われて、なんだか照れてしまう。

さっきから、照れてばかりだ。


「違うって。''まだ''彼女じゃない。」


悠が、''まだ''に語気を強めて言った。

まだってことは、これから付き合うかもってこと…?


心臓が、ドキドキし始める。




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