春になっても溶けないで
足音が、廊下に響く。

隣の悠は夕陽に照らされていて、整った顔立ちをさらに魅力的に見せていた。

「悠は、何か本を読んだりするの?」

なんとなく沈黙が気まずくて、そう聞いた。


「色々読むよ。俺も本好き。」


悠が、にこりと笑って言った。


「あ、着いたよ。」

悠が、少し手を引いて言う。


『図書室』と書かれた古びたプレートが見えた。


懐かしい。何ヶ月か来ていなかったけれど、図書室は何も変わっていなかった。





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