赤い糸~For you~
あれから走って来た道を戻っていると、学校についた。



部活動生もみんな帰っていて学校にはほとんど人がいなかったけど、



私はそんなことを気にすることもなく中庭へ歩いていく。



中庭には、一本の桜の木があって、



そこは…私のお気に入りの場所



そこに行くとココロがきれいになるような気がするから。



いつものように桜の木の下に行き、木を背もたれにするようにして座る…。



風が吹いて、花びらがぱらぱらと降ってきた。



空を見上げると夕日が沈み始めていて、それを見ると…さっきまで止まっていた涙がまた流れてくる。



誰もいない中庭の静かさがまた…私を不安にさせる。



たまっていたものを一気に出すかのように泣いた。



ちょっとだけスッキリして、



明日は笑顔で美仔に会えそうな気がした。



明日には…



明日には…いつもの…



“北村 志帆”



に戻ってるよ。



明日から、また…先輩を目でおう片想いが始まる。



それが今まで当たり前だったし、これからもそうなんだ。



だから、今日だけは…



今日だけは、私のわがまま許してね?



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