赤い糸~For you~
『…ん。』



目が覚めたら、真っ白な天井が見える。



ここは何処!?



確か…バイトをしてて…



『…そっか。倒れたんだっけ?』



ここは病院なのかなあ



『いたッ…』



手を動かしたら痛みが走る。



見たら、手には点滴の針が刺さっていた。



そして…その手には、大好きなあの人の手が繋がれていた。



『ッ…先輩。』



久しぶりに見る先輩。



スーツのままだ。



そういえば、初めてスーツ姿をみるなあ



先輩…私の為に来てくれたのかな?



寝顔をボーっとみてると、



「そんなに見たら恥ずかしいだろ。」



ニコッとあの大好きな笑顔で笑いながら頭を撫でてくる。



『…ッ。』



涙が流れてきた。



先輩がそばにいる、嬉しさと。



今までの辛さと…



いろんな感情がこもっている涙。



「志帆…ごめんな?」



小さい声で呟く先輩。



消えそうな声で…



でも、手を強く握ってくれていて…




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