赤い糸~For you~
「俺…まだ、ガキで…でも、早くお前と一緒に暮らしたくって。一緒になりたくって…お金だっている。二人の為だ。とか思いながら仕事をしてた。」



先輩がこんな事を思ってくれてた事が嬉しかった。



同時に、我慢出来なかった自分が嫌になって…



涙がとめどなく流れる。



「だけど…間違ってたんだ。俺の夢は志帆とずっと一緒にいること。それを…俺は自分で手放そうとしてたことに気付かなかった。その結果…志帆にこんな思いをさせてしまって…」



先輩の声は震えていて…



でも、手はしっかり握られてる。



「ホントにごめん。…こんな俺だけど、捨てないでくれ。お前が大事なんだ。」



先輩…



『捨てるなんてありえないよ。先輩がもし…私のことを嫌いになっても、私は先輩以外愛せない。…怖かったんだ。先輩がいなくなりそうで…。』



続きを言おうとしたら、抱きしめられた。



「…ごめん。志帆…本当にごめん。こんな俺だけど、これからもよろしく。」



『…はい!』



見つめあったあと、優しく…触れるだけのキス。



「志帆…愛してる。」



『私も!先輩よりも愛してる。』



二人で笑いあった。



「もう、この手を離さない。」




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