結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
ぴしりと撫でつけた短髪に銀縁のメガネ。ダークグレーの落ち着いたスーツがよく似合う。
三十九歳の菅原は龍一が社長に就任した十年前からずっと秘書を務めている。有能だが、決して出しゃばらない物静かな男性で、凛音にも親切だった。
古くから在籍している社員で凛音を水無月家の人間として扱ってくれるのは彼くらいのものだ。
「呼び出しておいて申し訳ないのですが、社長は今、電話対応中でして」
「気にしないでください。ここで待っていますから」
凛音は首を横に振って、彼の謝罪を制した。秘書課の隅の打ち合わせスペースにちょこんと座り、龍一の仕事が終わるのを待つことにした。
待たせている責任を感じているのか、菅原が雑談に付き合ってくれる。
「そういえば、例のあのプロジェクトがようやく本決まりになりそうですよ」
「そうなんですね。上層部が難色を示していると聞いていたので、心配していたんですが……」
「社長が時間をかけて賛成を取りつけました。今では彼らのほうが乗り気なくらいで」
満足そうな菅原の表情に凛音の頬も緩む。
三十九歳の菅原は龍一が社長に就任した十年前からずっと秘書を務めている。有能だが、決して出しゃばらない物静かな男性で、凛音にも親切だった。
古くから在籍している社員で凛音を水無月家の人間として扱ってくれるのは彼くらいのものだ。
「呼び出しておいて申し訳ないのですが、社長は今、電話対応中でして」
「気にしないでください。ここで待っていますから」
凛音は首を横に振って、彼の謝罪を制した。秘書課の隅の打ち合わせスペースにちょこんと座り、龍一の仕事が終わるのを待つことにした。
待たせている責任を感じているのか、菅原が雑談に付き合ってくれる。
「そういえば、例のあのプロジェクトがようやく本決まりになりそうですよ」
「そうなんですね。上層部が難色を示していると聞いていたので、心配していたんですが……」
「社長が時間をかけて賛成を取りつけました。今では彼らのほうが乗り気なくらいで」
満足そうな菅原の表情に凛音の頬も緩む。