結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
少し意地の悪い顔でにやりと笑ってみせたが、その態度とは裏腹に彼は歩調を緩め凛音のペースに合わせてくれた。すぐ隣にある彼の気配に、凛音の心臓は早鐘を打つ。
今日の彼はいつもと違う。ふたりの間に常にあった、そびえ立つ透明な壁が今は見えない。
(どうしたんだろう。なにかあったのかな)
彼の変化の理由を探したが、答えは見つからなかった。
「すごくおいしかったです。ごちそうさまでした」
「気に入ったのならよかった」
落ち着いた雰囲気の創作フレンチの店で夕食を済ませ、ふたりは外に出る。
昼間はよい天気だったが、都会特有の明るい夜空から小雨がぱらつきはじめていた。
細い滴が凛音の頬に落ち、龍一がそれを親指で拭った。彼の指先が触れた目の下がじわりと熱を帯び、凛音の鼓動は暴れ出す。
「軒下に入ってろ。車を回してくるから」
「大した雨ではないので平気です。むしろ、車を回すなら私が」
いくらプライベートの時間とはいえ、ボスにそこまでさせる社会人はいないだろう。凛音がそう訴えると、龍一はひどく寂しげな瞳で彼女を見つめた。
「あの……」
今日の彼はいつもと違う。ふたりの間に常にあった、そびえ立つ透明な壁が今は見えない。
(どうしたんだろう。なにかあったのかな)
彼の変化の理由を探したが、答えは見つからなかった。
「すごくおいしかったです。ごちそうさまでした」
「気に入ったのならよかった」
落ち着いた雰囲気の創作フレンチの店で夕食を済ませ、ふたりは外に出る。
昼間はよい天気だったが、都会特有の明るい夜空から小雨がぱらつきはじめていた。
細い滴が凛音の頬に落ち、龍一がそれを親指で拭った。彼の指先が触れた目の下がじわりと熱を帯び、凛音の鼓動は暴れ出す。
「軒下に入ってろ。車を回してくるから」
「大した雨ではないので平気です。むしろ、車を回すなら私が」
いくらプライベートの時間とはいえ、ボスにそこまでさせる社会人はいないだろう。凛音がそう訴えると、龍一はひどく寂しげな瞳で彼女を見つめた。
「あの……」