結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
(いつもより若い人が目立つな)
それが凛音の率直な感想だったが、新しいクルーズ事業は若者をターゲットにしているからだろうかと特に気に留めることはなかった。
龍一は彼らを凛音に紹介してくれたが、若き実業家という人種はとがっているようでいて、不思議なほどみな似たような空気をまとっていた。
一目でブランド品とわかるスーツに高価な腕時計。ギラギラとした野心と、自分は選ばれた人間なのだという自尊心が言葉の端々に見え隠れする。
それが魅力でもあるのだろうが、凛音は気後れしてしまって彼らとの会話を楽しむことはできなかった。
車椅子に乗った老齢の男性に目を留めた龍一が凛音に耳打ちする。
「悪い。ちょっとあいさつしてくるから、ここで待っていろ」
「はい」
彼は経済界のドンと呼ばれる超大物で、婿が与党の政調会長を務めているので政界とのパイプも太い。
話が長いことで有名でもあるので、龍一はしばらく戻ってこないだろう。
凛音はシャンパングラスに入った桜色の液体をごくりと飲み干す。
裏方ではない立場でパーティーに参加するという慣れない体験に緊張していたせいか、やけに喉が渇いていた。
それが凛音の率直な感想だったが、新しいクルーズ事業は若者をターゲットにしているからだろうかと特に気に留めることはなかった。
龍一は彼らを凛音に紹介してくれたが、若き実業家という人種はとがっているようでいて、不思議なほどみな似たような空気をまとっていた。
一目でブランド品とわかるスーツに高価な腕時計。ギラギラとした野心と、自分は選ばれた人間なのだという自尊心が言葉の端々に見え隠れする。
それが魅力でもあるのだろうが、凛音は気後れしてしまって彼らとの会話を楽しむことはできなかった。
車椅子に乗った老齢の男性に目を留めた龍一が凛音に耳打ちする。
「悪い。ちょっとあいさつしてくるから、ここで待っていろ」
「はい」
彼は経済界のドンと呼ばれる超大物で、婿が与党の政調会長を務めているので政界とのパイプも太い。
話が長いことで有名でもあるので、龍一はしばらく戻ってこないだろう。
凛音はシャンパングラスに入った桜色の液体をごくりと飲み干す。
裏方ではない立場でパーティーに参加するという慣れない体験に緊張していたせいか、やけに喉が渇いていた。