結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
「それはダメだ。いやらしい凛音の声、聞きたいから」

 クスクスと笑いながら、龍一には無情にも凛音の両手をつかみ頭上で固定してしまった。

 口元も身体も隠せなくなった凛音は、心許なさにふるふると身体を震わせる。

「そんな仕草は余計に男を煽るだけだぞ」

 誘うように赤く色づいている胸の頂に、龍一は熱い吐息を吹きかける。

「んあっ」
「ほら。もっと淫らに啼いて、俺の熱を奪い尽くしてくれ」

 優しく食み、舌先でねぶられると、凛音のそれは彼の口内でぷっくりと膨れあがった。

「やっ、ダメ」

 イヤイヤをするように凛音は身をよじってささやかな抵抗を見せる。だが、その行為は龍一の嗜虐心を高めるだけだった。

「俺にはねだっているようにしか見えないな」

 片方を口内で転がし、もう一方は指で強弱をつけて押しつぶされる。快楽というものが自身の意思とは無関係に、暴力的に押し寄せてくるものだとは凛音は知らなかった。

 瞳はしっとりと潤み、唇からは細い銀糸がこぼれた。

「やっ、あぁ」
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