結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
 ゆっくりと龍一が自身のなかに入っていく。痛みはあるが、彼に埋め尽くされていく多幸感に凛音は酔いしれた。

 龍一は大切な宝物を扱うような丁重さで凛音を抱き締め、じっくりと彼女の快感を探っていく。あっという間に恐怖と痛みはどこかに消え、凛音の唇からは甘い喘ぎがこぼれ出す。

 優しい手、甘やかな瞳、艶のある声、龍一のすべてが凛音の熱を高めていく。

「龍一さん、龍一さんっ」

 愛しています、そう口走りそうになるたびに、凛音は唇をかんでそれをこらえた。

 この気持ちを言葉にすることは、身体を重ねるよりなお、罪深いことに思えた。彼への思いはすべて、背中を抱き締める指先に込めた。

「上においで、凛音」

 ベッドにあぐらをかいて座った彼が少しかすれた声で凛音を呼ぶ。恥ずかしさは消えないものの、彼と抱き合う喜びが勝った。

 凛音はおずおずと彼の上に座る。向かい合って抱き合う態勢で、龍一はもう一度凛音のなかを攻めはじめる。

「あっ、きゃっ」
「いいな。こっちのほうが凛音の顔も身体もよく見える」
「恥ずかしいから、見ないで……」
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