結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
「そう言われましても……ホテルにでもお連れすればよかったでしょうか」
「ダメに決まっているだろう」

 菅原はクスクスと楽しげに目尻をさげる。

「私は来年には不惑ですよ。凛音さんとの間に間違いが起きるはずもない」
「そんなの当たり前だろうが。なにもなくても、凛音が俺以外の男とふたりきりなんて許せないんだよ」

 はっきりとあらわになった彼の独占欲に、凛音は目を瞬かせた。

「龍一さん……」

 もう一度凛音に視線を戻した彼は思いきり拗ねた顔で、コツンと額を合わせた。

「凛音もだぞ。自分が誰のものなのか、ちゃんと自覚しろ」

 彼の瞳に宿る、滾るような愛情に胸がドクドクと早鐘を打つ。

「ゆうべの言葉は本心だと、そう思ってもいいですか?」

 龍一はけげんそうに眉根を寄せる。

「逆に聞きたいな。なぜ嘘だと思ったんだ?」
「子どものことで責任を感じているのでは……と」

 それを聞いた彼はくくっと白い歯を見せて笑う。

「なら、特別に教えてやろう」

 甘い眼差しを注ぎながら、彼は言う。

「寮のある大学に行きたいとお前が言ったのを、俺が反対したのはなぜだかわかる?」
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