ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
1、一度目の人生
(1)
エリス国には古くから伝わる昔話がある。
神秘なるエリス国の初代国王は神に愛され、故に魔法の力を授かった。神は特に寵愛する王族に神使を遣わせ、特別な祝福を授けると。
◇ ◇ ◇
ここはダナース国の王宮の奥深く。
シーンと静まりかえった広く豪勢な寝室のベッドの端に、ひとりの可憐な姫君が腰かけていた。
(エディロン様はまだかしら?)
緊張に胸を高鳴らせていた姫君──今日式を挙げて王妃となった元エリス国の王女、シャルロットは天井を見上げる。
目に入ったのは、ドレープの垂れ下がる豪奢な天蓋だ。
(今夜、ここで──)
これから起こることを思い、頬が赤らむ。ただ、肝心の夫であるダナース国の国王──エディロンが現れない。
一向に開く気配のない隣室との扉を見る。その扉は、先ほどと同じようにぴったりと閉ざされたままだ。
「ねえ、ルル。エディロン様が遅すぎる気がするわ」
シャルロットは自身の使い魔である白猫のルルに話しかける。
神秘なるエリス国の初代国王は神に愛され、故に魔法の力を授かった。神は特に寵愛する王族に神使を遣わせ、特別な祝福を授けると。
◇ ◇ ◇
ここはダナース国の王宮の奥深く。
シーンと静まりかえった広く豪勢な寝室のベッドの端に、ひとりの可憐な姫君が腰かけていた。
(エディロン様はまだかしら?)
緊張に胸を高鳴らせていた姫君──今日式を挙げて王妃となった元エリス国の王女、シャルロットは天井を見上げる。
目に入ったのは、ドレープの垂れ下がる豪奢な天蓋だ。
(今夜、ここで──)
これから起こることを思い、頬が赤らむ。ただ、肝心の夫であるダナース国の国王──エディロンが現れない。
一向に開く気配のない隣室との扉を見る。その扉は、先ほどと同じようにぴったりと閉ざされたままだ。
「ねえ、ルル。エディロン様が遅すぎる気がするわ」
シャルロットは自身の使い魔である白猫のルルに話しかける。
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