ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが


 一方のエディロンは会話しながらもじっとシャルロットを観察していた。

 セザールが先ほど持ってきた報告書に書かれたシャルロット=オードランは引きこもりがちで性格は内気。いつも俯き顔を隠し、ボソボソと聞き取るのが困難なしゃべり方をする女性だ。

 しかし、目の前のシャルロットは毎日のように外出するほど活動的で、はきはきとしていて快活だ。どう見ても内向的とは言い難い。
それに、エリス国では見かけることがないというスナーシャというフルーツについて詳しいことも不思議だったし、ナイフを器用に使えるのも違和感があった。王女として育ってきたのならば、普通は使えなさそうなものだ。

「ところで、陛下はなぜここに?」

 正面に座るシャルロットが不思議そうにこちらを見つめる。

「愛らしい婚約者に会いに来た、と言ったら喜んでくれるかな?」
「そんな嘘はいりません。本当の理由を仰ってください」
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