ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
「なんだと?」

 エディロンは驚いて目を見開く。

 シャルロットは少し緊張しているのか、その面持ちは固い。
 しかし、こちらをまっすぐに見つめる瞳は真剣そのものだった。
 

    ◇ ◇ ◇


 シャルロットの部屋を訪問した数日後のこと。
 エディロンは城下をお忍びで視察した後に、王都の商工会議所に立ち寄った。

 忙しい執務の合間にも、極力それと目立たぬようにして城下の様子を見に行くようにしている。元々平民として生を受けたエディロンは、民に寄り添わず不平不満を燻らせることがのちに取り返しの付かないような大きな問題を引き起こす可能性があることをよく理解していたからだ。

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