ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

 入って来にくかったもの、と聞いて、先日シャルロットと一緒に食べたスナーシャが真っ先に思うかんだ。

「ああ、そうみたいだな。では、また暫くしたら話を聞きに来るよ」

 エディロンは軽く頷く。時間もないので片手を上げてその場を去ろうとした。

「あ、そうだ」

 商工会議所の所長が声を上げたのでエディロンは振り返る。

「陛下の婚約者様が隣国からいらっしゃったそうですね。おめでとうございます」
「……ああ、ありがとう」

 エディロンがエリス国の王女を婚約者として迎えたことは既に国民に知らせてある。初日のシャルロットとのやり取りを思い出し(あまりめでたくはないんだが)と思ったものの、祝辞を否定するものおかしいので何事もないように頷く。

「なんでも、今度のパーティーの取り仕切りを行うんでしょう? 用意したい物リストを作って、直接店まで打合せに来たそうですよ」
「シャルロットが? 商店に?」

 エディロンは意外な話に、目を丸くする。

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