ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
『ごめんなさい。こんな──』
シャルロットは慌てて肩にかけられた上着を脱ごうとする。しかし、それは男性によって制止されてしまった。
『いいから着ていろ。寒いが、あそこに戻りたくないのだろう?』
男性はシャルロットの横に立つと、テラスの手摺りに手をかける。シャルロットが驚いて男性を見上げると、男性はシャルロットを見返してきた。
まるで夜空に浮かぶ月を思わせる、金色の瞳と視線が絡み合う。
(どこかでお目にかかったことがあるかしら?)
その瞳にどこか既視感がある気がした。
『ところで、先ほど誰かと話をしている声がしたが?』
『ああ、あれはわたくしの使い魔です。小鳥の』
『使い魔? そうか。さすがは聖なる国家だな』
男性は感心したように頷く。