ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

 シャルロットは気を取り直す。

「王女殿下、よろしければこのあと少しお話でもしませんか。他にもご紹介したい本が沢山あるのです」
「え?」

 突然の誘いに戸惑った。ハールス卿はシャルロットの困惑に気付く様子もなく、片手を差し出す。
 そのとき、目の前をないかがシュッと横切った。

「うわっ!」

 ハールス卿が悲鳴を上げて差し出した手を振り払う。

「ガル!?」

 シャルロットはそこにいるはずのない生き物を見つけて驚いた。ペットのガルがハールス卿の手に飛びかかったのだ。

「どうしてここに? 鞄に入り込んでいたのかしら?」

 そんなに大きな鞄ではないのに、本当にいつの間に!
 シャルロットは慌てて床にいるガルを拾い上げる。

「王女殿下。なんですか、その恐ろしい生き物は?」
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