ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

 ハールス卿が驚愕の表情でこちらを見る。

「この子は恐ろしくなんてありません。わたくしのペットです」

 シャルロットはガルを悪く言われてムッとする。
 可愛いと言われるならわかるが、恐ろしいとは心外だ。こんなに愛らしいのに。

「ハールス卿。わたくし、本日は出かける用事がありますので失礼します。ご機嫌よう」

 シャルロットは待ってくれていたケイシーと合流し、その場を後にしたのだった。

 図書館から離宮に戻るまでは二十分近く歩く。

 その途中、ケイシーが「あっ」と小さな声を上げる。どうしたのかと思いケイシーを見ると、ケイシーは開放廊下から一方を見つめていた。シャルロットはその視線を追う。

(あ。あれって、もしかして……)

 それは、訓練場に見えた。
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