ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
 シャルロットは立ち止まり、そちらに目を懲らす。
 騎士服を着た人がたくさんおり、訓練中のようだ。

「少し見ていく?」

 シャルロットはじっとそちらに見入るケイシーに声をかける。この様子だと、きっと恋人の姿を見つけたのだろう。

「いえ、申し訳ありません」

 ケイシーは頬を赤らめ、慌てたように両手を自分の胸の前で振る。

「あら、大丈夫よ。まだ時間はあるでしょう?」

 図書館にはそんなに長居しなかったから、お茶会に出かける時間まではあと三十分くらい余裕があるはずだ。

「よろしいのですか?」

 ケイシーがおずおずとシャルロットに尋ねる。遠慮していたものの、本当は恋人の訓練する姿を見たいのだろう。

「もちろんよ」
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