ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
シャルロットは笑顔で頷く。
開放廊下から階段を降りて訓練場に近づく。
そこで、シャルロットはその中に、ひとりだけ違う服を着ている人がいることに気が付いた。長身の者が多い騎士に混じっても頭ひとつ分背が高く、がっしりとした体躯。
(エディロン様だわ!)
開放廊下からは陰になっていて、エディロンがいるのが見えなかった。
エディロンは騎士団の訓練の様子を視察しているようだった。時折、エディロン自身も騎士を相手に剣の打ち合いをしている。
「すごい」
シャルロットは間近でその姿を見て、思わず感嘆の声を漏らす。
四度目の人生、シャルロットは騎士として生きた。そのため、動きを見れば相手がどれほどの剣技の使い手であるかは大体わかる。エディロンは国王でありながら、その腕は現役の騎士と比べても全く見劣りしていない。