ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
   ◇ ◇ ◇


 目の前に並べられたのは、いくつもの可愛らしいお菓子の数々。用意されたのは、芳醇のな香りの上質な紅茶。

 ダムール侯爵婦人が主催するお茶会には、シャルロットを入れて全部で四人の参加者がいた。主催者のダムール侯爵夫人は二十代半ばの若き侯爵夫人で、物腰の柔らかい女性だった。

 貴婦人のお茶会の内容は、大体どこに行っても同じだ。
 恋の話、ファッションの話、最近流行しているお菓子や本の話、そして、ここにいない誰かの噂話……。

「シャルロット様は、陛下とはお会いしたことがあったのですか?」

 参加者のひとり、ウィルトン子爵夫人がシャルロットに尋ねる。ウィルトン子爵夫人はこの場では一番の年長者で、歳は三十を少し過ぎている。既に、ふたりの子供を持つ母でもある人だ。

< 204 / 325 >

この作品をシェア

pagetop