ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
大きな手に自分の手を重ねると、包み込まれるようにぎゅっと握られた。
ふたりで並んで歩き出す。
(本当に素敵……)
右も左も正面も、一面に広がるピンク色の世界。まるで花のトンネルを通っているような感覚に陥りそうになる。
「とても素敵な場所ですね」
「そうだな。アーモンドは花の見頃が短いから、俺も見るのは久しぶりだ」
エディロンは視線を上げ、頭上の花を眺めて目を細める。
シャルロットが読んだ文献の情報では、アーモンドの花が咲くのは一年間のうちのほんの僅かな期間だけなのだという。儚いだけに、美しさが際立つ。
「気に入ったか?」
「はい。とても──」
そう言いながらエディロンのほうを見て、どきんと胸が跳ねる。エディロンが、とても優しい目をして自分を見つめていたから。