ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

 シャルロットはどう答えてよいかわからず、口を噤んだままエディロンを見返す。
 エディロンもそこで言葉を止め、シャルロットを見下ろすとふっと表情を綻ばせる。

「とんでもないことを言う割に、民に寄り添い、驚くほど博識で、おまけに剣まで扱う。知れば知るほど驚かされることばかりで、益々知りたくなる」

 大きな手がこちらに伸びてきて、シャルロットの頬に触れた。

「シャルロット。結婚をやめたいという気持ちに変わりはないか?」
「え……?」

 ──変わりありません。

 そう言わなければならないのに、なぜかその一言が喉につかえて出てこない。こちらをまっすぐに見つめる金色の瞳から目が離せない。

「俺はあなたを、本当の妃にしたいと思っている」
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