ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
(少し、ことを急ぎすぎたか……)

 エディロンは内心で溜息をつく。

 シャルロットとの距離を少しずつ縮め、花見に行く前はかなり良好な関係を築けていると思っていた。エディロンが訪問するとシャルロットはパッと表情を明るくし、花が綻ぶような笑顔を見せる。
 それ故に、男女としても好意を向けられていると思っていたのだが──。

 その状況が一転したのは、あの花見の日からだ。

 シャルロットから『気分が優れないので陛下にお会いすることができません』という主旨の手紙が届くようになり、明確な拒絶をされた。
 それでも諦めずに何度か離宮まで訪問したが、のらりくらりと適当な理由を付けて断られ、結局しっかりと会話ができていない。

 考えられる理由は、エディロンがあの日『本当の妃にしたい』と言ったことくらいだ。

 密かに探らせたところによると、シャルロットはエディロンに会わない他は今までと同じように城下に出て普通に過ごしているようだ。むしろ、最近はより活発に活動しているようにすら見える。
 となると、エディロンに会いたくなくて言い訳しているとしか考えられない。
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