ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
(困ったな)
もちろん、エディロンは国王なので無理矢理呼び出せば従うだろうが、そんなことをすれば益々心を閉ざしてしまうことは明らかだ。できれば避けたい。
(城下にまで会いに行くか)
それ以外にシャルロットときちんと向き合って話す方法が思いつかない。それに、そろそろ結婚式の具体的な準備に取掛からないといけない時期に差し掛かっており、いずれにしても一度きっちりと話す必要があった。
「セザール。今日の午後は何も予定が入っていなかったな?」
エディロンはセザールに自分の予定を確認する。
「今日の午後ですか? 予定していた会議がキャンセルになったため、空いています」
「久しぶりに城下に出かけようと思う。お忍びで行きたいから、供は目立たないようにしてくれ」
「かしこまりました」
セザールは頭を下げる。
エディロンは小さく頷くと、ぎゅっと拳を握る。
シャルロットを手放すつもりはない。離宮で会えないならば、城下に会いに行くまでだ。