ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
その中のひとつに、エディロンは目を留める。
「これ……」
それは、ピンク色の小さな花だった。白いハンカチに刺繍されている。
「ああ。これは一番最近納品戴いたものです。なんでも、アーモンドの花を初めて見に行かれたそうです。とても楽しかったようで、思わず刺繍してしまったと」
「そうか」
その後の態度からもしかすると嫌な思い出になっているのではないかと心配していたが、シャルロットが楽しかったと周囲に話していると知り、エディロンは口元を綻ばせる。
「このハンカチ、もらってもいいか? いくらだ?」
「三〇〇ルビンです」
「わかった」
ポケットから一〇〇ルビン硬貨を三枚取り出し、女店主に手渡す。女店主がそれを丁寧に包もうとしたので、「そのままでいい」と言ってエディロンはそれをそのままポケットに入れた。