ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
(ここに来ていないとすると、あとは孤児院だろうか?)

 店を出たエディロンは、以前シャルロットが子供達を遊んでいた孤児院を思い出し、そこに向かうことにした。

 ところが、近づくにつれて何やら悲鳴のような声が聞こえてきて、様子がおかしい。

「何かあったのか?」
「わかりません」

 それとなく近くに控えていたセザールに話しかけるが、セザールもなんの騒ぎなのか予想が付かないようだ。

 妙な胸騒ぎがした。

 足を速めて進む。
 ようやく騒ぎの元に近づくと、どうやら荷車を引く牛の機嫌が悪いようで暴れ牛の状態になっているようだった。

「一般人に被害が出る前になんとかしたほうがいいな」
「はい。すぐに対応します」

 セザールは頷くと、その場を離れる。警邏中の騎士団に知らせに行ったのだ。
< 239 / 325 >

この作品をシェア

pagetop