ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
    ◇ ◇ ◇


 気が付くと、見慣れた天蓋が見えた。シンプルな木製の枠に白い薄衣かかけられたこのベッドは、シャルロットが毎日眠っているものだ。

「シャルロット! 気付いたか」

 慌てたような声が聞こえて視線を横に投げると、なぜがベッドの脇にある椅子にはエディロンが座っていた。

「あれ? わたくし……」

(どうしてベッドに寝ているのかしら? なんで、エディロン様がここに?)

 よくわからず額に手を当てて考え、城下で暴れ牛に襲われそうになった記憶が甦る。最後、絶体絶命になったところをエディロンが助けてくれたのではなかっただろうか?

「医師に診させたところ、大きな怪我はないそうだ。驚いて一時的に気を失っただけで、擦り傷も一週間もあれば綺麗になるだろうと」

 エディロンはシャルロットの手を取ると、その甲にキスを落とす。

< 243 / 325 >

この作品をシェア

pagetop