ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
エディロンがシャルロットの存在を確かめるように、握っていた手を自分の頬に当てる。 胸がまたぎゅっと苦しくなる。
「シャルロット」
エディロンがこちらを見つめる。
まっすぐに見つめられ、シャルロットはどきっとした。エディロンが何か、とても大事なことを言おうとしていると感じたのだ。
「もう一度言う。俺の妃になってほしい」
真摯な瞳に射貫かれ、胸をぎゅっと掴まれるような感覚。シャルロットはエディロンに握られていない側の手を自分の胸に当てる。
「……む、無理です」
シャルロットはふるふると首を左右に振る。
シャルロットは結婚すると、その日に死ぬ。どう頑張っても、エディロンの妃にはなれない。なれたとしても、結婚式の日が終るまでの数時間だけだ。
それを聞いたエディロンはぐっと眉間に皺を寄せた。
片手を包む大きな手に、力が籠る。
「なぜだ。俺達の結婚は国と国が決めたことだから障碍はない。俺はあなたを愛している。それに、シャルロットも俺が好きだと言っていた」