ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

「とてもお綺麗でございます」

 女性が体をずらすと、目の前に置かれた鏡が見えた。

 陶器のように艶やかな白い肌、ほんのりとピンク色に色づいた頬、ぱっちりとした目、くるんと上がったまつげ。そして、全身を包むのはたくさんのレースがあしらわれた豪華な純白のドレス──。
 そこに映るのは間違いなくシャルロットなのに、まるで自分が自分でないような気すらした。

「すごいわ、ありがとう」

 シャルロットは鏡を覗き込んで歓声を上げる。普段あまり着飾ることがないので、目新しさもひとしおだ。

 今日、シャルロットはダナース国の国王であるエディロンの妃となる。今はまさに、これから行われる結婚式の準備を行っているところなのだ。

 シャルロットは下を向き、自分自身の姿を見る。レースのところどころには真珠が飾られており、一層の華やかさを添えている。
 よくもこの短期間でここまで仕上げてくれたものだと、仕立屋の面々には感謝しかない。
 これまでの人生の中で、ウエディングドレスを着るのはもう何度目だろう。叶うことなら、これが最後のウエディングドレス姿でありたい。
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