ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
「来るとすればそろそろだな……」
エディロンの小さな呟きが聞こえた。
ドキッと胸が跳ね、シャルロットはエディロンの存在を確かめるようにその服をぎゅっと握る。
セザールの情報では、今夜ここにエディロンの命を狙う者が現れる可能性がある。そして、エディロンとシャルロットは敢えてその策略に気付かないふりをして刺客を呼び込むことを選んだ。つまり、いつ曲者が現れても不思議ではないのだ。
「陛下、絶対に死なないでくださいね」
シャルロットはエディロンの顔を見上げる。
自分が死ぬのも怖いけれど、エディロンが死ぬことはそれ以上に怖い。
「俺は死なない」
エディロンはシャルロットの顔に片手を添える。。
「こんなに可愛い妃を得たのに、残して死ぬわけがないだろう」
その優しい眼差しを見て、余計に不安が募る。
エディロンは強い。それでも、嫌な想像が頭をよぎってしまう。エディロンが大切だからこそ、失う恐怖が大きかった。
なおも不安そうな表情をするシャルロットを見つめていたエディロンが片眉を上げる。