ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
「ところでシャルロット。今、陛下と言ったか?」
「え? はい、言いました」
何か問題のあることを言っただろうかと考え、シャルロットは小首を傾げる。
「シャルロット。あなたは今日より、俺の妃だ。公式の場以外では『エディロン』と名前を」
「あ……」
シャルロットは一瞬口ごもる。
「エディロン様」
意を決してその名を呼び、エディロンを恐る恐る見上げる。
名前を呼ぶだけなのに、どうしてこんなに気恥ずかしいのだろう。ほんのりの頬が熱を帯びるのを感じる。
一方のエディロンは蕩けそうな眼差しをシャルロットへと向けた。
「あなたに名前を呼ばれるのは、嬉しいものだな。自分の名前が特別なものになった気がする」
「わたくしも、エディロン様の名前を呼ぶだけで胸がむず痒いです……」
おずおずとそう告げると、エディロンは驚いたように目を見開く。
「参ったな。俺の妃は言うことなすことの全てが愛らしすぎる」