ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
(えっ? 今のって……)

 シャルロットはびっくりしてルルを見つめる。ルルは頭を撫でられて気持ちよさそうに喉を鳴らしていた。

「シャルロット。どうかしたのか?」

 シャルロットの様子がおかしいことに気付いたエディロンが、心配そうに顔を覗き込んでくる。

「いえ、なんでもないです」

 シャルロットは慌ててその場を取り繕う。けれど、内心はとても混乱していた。

(もしかして認知共有? なんで!?)

 魔力が高い魔法使いは使い魔と意識を共有することができる。
 例えば、使い魔が見聞きしたことを自分が体験したことのように記憶として取り入れたり、遠くにいる使い魔が見ている景色を一緒に見て会話をすることも可能だ。
 それを一般的に、『認知共有』と言った。

 しかし、それができるのはごく一部の魔力が強い人間に限られる。魔法が得意ではないシャルロットは当然、できない。
 けれど、今のは間違いなく認知共有に思えた。ルルが見たという景色が鮮やかに脳内に映り込んだのだから。
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