ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
「実は、かねてよりオハンナ妃よりご相談を受けておりました。シャルロット様がエディロン陛下に嫁ぐのをとても嫌がっていると。そのご相談を受けて、私があの剣を作りました」
「その通りです。こんなお話はお恥ずかしい限りなので今まで黙っておりましたが、シャルロットはエディロン陛下との結婚を未だに嫌がっておりました。しかし、わたくしは母親として、シャルロットに王女としての務めをしっかりと果たすようにと諭したのです」

 オハンナもオリアン卿の話に同調するように説明する。

「しかし、わたくしは王妃である一方で、この子の親です。意に添わない結婚で一生辛い思いをさせるのはとても辛いですわ。ですから、もしも本当に耐えられなくなったときにはこれを使いなさいとこの剣を送りました」
「なんですって?」

 あまりに予想外の筋書きに、シャルロットは唖然とした。

 耐えられなくなったら使えとは、即ち自分の命を自分で絶つようにという意味だろう。もちろんシャルロットはオハンナから剣など受け取っていないし、この話の全てが初耳だ。

 話の一から十までが全て大嘘だ。

「それなのに、まさかそれを他人に渡してエディロン陛下を亡き者にしようとするなんて──」

 オハンナは顔を俯かせ扇で隠す。

(この人、何言っているの?)

 開いた口が塞がらないとはまさにこのことだ。
 証拠が出てきたら、今度はシャルロットを犯人に仕立てようとするなんて。
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